君がいた部屋~二階階段前倉庫~

交わる道



それから、桜が虐められた。


あたしは虐められるどころかむしろ変に優しくされた。


最初は皆あたしに話しかけなかった。


だが、最近は話しかけてくれる子が何人かいる。


といっても、親しく、いつでもというわけではなく、挨拶程度だ。


でも、それはとても嬉しい事だった。


今まで誰一人目だって合わせてくれなかった。


仕方ない。


誰も巻き沿いはくらいたくない。


それに、あたしはリスカをした。


皆知ってる。


そんなあたしを、少しだが受け入れようとしてくれる子がいる。


存在を認めてくれる子がいる。


嬉しかった。


純粋に嬉しかった。


だけど…


「マジ市川うざい。」


その代わりに、桜は今日も虐められる。


この前まであたしがやられていた事が、今は桜に…


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