君がいた部屋~二階階段前倉庫~





抱き締められた。


竜に


「竜…」


「最後に訊いていいか?」


最後と言う言葉があたしの胸を苦しめる。


でも同時にあたしは悟った。


本当に最後なんだ。


「何?」


「…美羽に必要なのはこの部屋か?」


竜は言葉を詰まらせた。


「それとも、俺か?」


あたしは涙が溢れて来るのを自覚した。


あたしに必要なのは…


「そんなの、」


竜に会う為にここに来た。


竜がいるからここに来た。


それは、ここでしか竜に会えないから。





あたしは気付いた。


必要なのは…


「竜だよ…」


「そうか…」


とても小さな声だった。


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