君がいた部屋~二階階段前倉庫~
…
抱き締められた。
竜に
「竜…」
「最後に訊いていいか?」
最後と言う言葉があたしの胸を苦しめる。
でも同時にあたしは悟った。
本当に最後なんだ。
「何?」
「…美羽に必要なのはこの部屋か?」
竜は言葉を詰まらせた。
「それとも、俺か?」
あたしは涙が溢れて来るのを自覚した。
あたしに必要なのは…
「そんなの、」
竜に会う為にここに来た。
竜がいるからここに来た。
それは、ここでしか竜に会えないから。
…
あたしは気付いた。
必要なのは…
「竜だよ…」
「そうか…」
とても小さな声だった。