君がいた部屋~二階階段前倉庫~


竜は更に強くあたしを抱き締めた。


「美羽…」


「何?」


「ありがとう。」


その言葉と共に、感覚が無くなっていった。


やだ…


あたしは竜を掴もうとした。


が、目の前にいる幽霊を掴む事は出来なかった。


どんどん竜が透けていくのが嫌でも分かった。


涙は止まらない。


そのうち視界がぼけてくる。


目の前が白くなってくる。


雪みたいな白。


嫌だ…


こんなの嫌だ…


こんなの…


あたしは一瞬目を閉じた。


怖かった。


何もかも、


終わってしまうのが。


そしてとうとう、


真っ白な壁紙しか見えなくなった。


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