君がいた部屋~二階階段前倉庫~
桜は今にも泣きそうな顔していた。
「桜?桜!!」
ようやく桜はハッとして我に返った。
「美羽…ご免…」
「どうしちゃったの?」
「何でもない。ちょっとびっくりしちゃって、…もぅ、美羽…いつの間に彼氏作ってたの?」
桜はそう言って笑った。
そっか、あたし、桜にも言ってないんだった。
「ご免。皆に内緒にしてた。本当ご免。」
「いいよ。そりゃ言えないっしょ?こんなに人気な彼氏がいてたら桜だって言えないよ。大丈夫だって、誰にも言わない。悠美にも内緒にしとくから。」
そう言うと桜は翔太の方を向いてニコッて笑って言った。
「美羽の事よろしくお願いしますね。この子泣かせたら、桜が許さないから。」
桜はそれだけ言うとじゃあねって言って帰って行った。
あたしは翔太にご免ねって言ってまた一緒に歩いた。
あたしは翔太に桜の事を話した。
あたしの初めての友達だって事、いろんな事教えてくれた事、全部話した。
翔太はずっと相づちをうって聞いてくれた。
「ご免。あたしばっかり話して、」
「いいよ。美羽は桜が大好きなんだ。」
「うん。桜は何があってもあたしの味方でいてくれる。だからあたしも、ずっと桜の味方でいたいの。」
「そうなんだ。」
「そうだよ。ねぇ翔太、思ったんだけど、この辺歩いてたらヤバくない?また学校の人に見つかるかもしれないし、」
「あ、そうだな。」
「どうする?」
「もう帰ろっか。っていうか俺そろそろ帰らないとヤバいわ。」
「そうなの?」
「おぅ。ご免…じゃあ。」
翔太はさっさと帰ってしまった。
見えなくなるまで、そんなに時間はかからなかった。