君がいた部屋~二階階段前倉庫~
third,破壊、過去、希望
亀裂
翔太のお通夜から暫くの間、桜は学校に来なかった。
学校でも、翔太が死んだ事は有名だった。
翔太のファンだった子は、学校なんて面白くないと思う子がほとんどだった。
悠美もそんな子の一人だった。
「井川先輩いないとか、この学校の価値全く無いじゃん。」
悠美は最近同じ事ばっかり言ってる。
「そんな事言わないでよ。あたし桜が休みってだけでテンション下がるのに、悠美がそんな事言うとかもっとテンション下がるよ。」
「美羽、」
「何?」
悠美は急に真剣な顔をして言った。
「井川先輩と桜が付き合ってたって本当?」
「…」
あたしは何も言えなかった。
悠美は知ってたの?
「美羽?」
「あ、ご免、ビックリして、」
「だよね?あたしも初めて聞いた時超ビックリしてさ、まさかって思ったけど、」
「けど?」
「桜ずっと休みじゃん?やっぱあれ本当だったんだって思って。マジショックなんだけど。」
…
あたしは返事に困った。
だけど、口は勝手に動いていた。