君がいた部屋~二階階段前倉庫~
あたしは上を見た。
そしたら…
「ひゃっ」
水が落ちてきた。
大量の水。
あたしはびしょ濡れだった。
制服も髪も、全部濡れてしまった。
すると上から笑い声がした。
決して上品とは言えない、笑い声が。
あたしはもう一度上を見た。
そこにいたのは、浅間実穂と、浜崎早苗と、坂田真紀、
あと…
桜
あたしは上を睨み付けた。
その様子を見て、4人は更に笑う。
やがて浜崎早苗と坂田真紀が言った。
「どしたの、三神さん?びっしょびしょ!アハハ…」
「でも、超似合ってる。明日からその状態で来れば?手伝ってあげるから。」
坂田真紀がそう言い終えると、4人はまた笑った。
あたしは無様な自分を見た。
酷い以外、言い様がなかった。
だが、それよりも酷い事があった。
桜…
あたしは上で笑ってる桜が信じられなかった。
今の桜は、いつもみたいに明るく笑わない。
今の桜は、いつもみたいに優しい子じゃない。
その事は
全身が濡れる事よりも、
嫌だった。