君がいた部屋~二階階段前倉庫~
もう嫌だ…
こんなの…やだ…
あたしは全速力で走り、その場から逃げた。
久しぶりにこんなに走った気がする。
後ろを振り返った。
桜達は追いかけては来なかった。
あたしは安堵して足を止めて前を見た。
そこにはあった。
長い間来ていなかった大好きな部屋
あたしの居場所
あたしは我を忘れて、思いっきりドアを開けた。
いた。
彼はいつも通りそこにいた。
…竜…
あたしは竜に駆け寄った。
竜はこっちを見て言った。
「久しぶりだな。三神美羽。」
あたしはこの時何を思ったのだろう?
分からない。
でも
どうしようもない程の安心感と、誰かがいる暖かさを、改めて知った。
そして気付いた。
あたしは…一人じゃない。
あたしには…まだ、竜がいてた。
竜は…あたしを受け入れてくれる。
よね?
「竜…」
「だから言っただろ?不幸になるって。」
あたしは記憶の糸を探る。
そうだ、
竜はあたしに忠告してくれた。
外に出るなと。
それを無視したのは…
あたし…