君がいた部屋~二階階段前倉庫~
でも、幻じゃない。
翔太は本当にあたしのこと心配してくれた。
桜も悠美も、良くしてくれた。
あれは、幻なんかじゃない。
「お前がどう思ったところで、それが現実だ。」
「でも、」
「でもじゃねぇだろ。少しは周りを見ろ。」
「だけど、もう嫌。…一人は、やだ…」
「じゃあ何でお前はここにいるんだ? 」
「…」
え?
「本当に一人なら、家帰って泣いてろ。」
そうだ…
竜のこと忘れてた。
ねぇ今の言葉って
竜のことは信じていいって事だよね?
そういう事だよね?
「竜…ありが、とう。」
あたしはまた泣いた。
ご免ね、竜。
ありがとう、竜。