君がいた部屋~二階階段前倉庫~


少年に出会って3日がたった。


あたしはもう一度あの倉庫に行く事にした。

もう一度会って話がしたかった。


ちゃんと謝ろう。


勝手に怒って出てったのはあたしだから許してもらえないかもしれないけど、きちんと謝ろう。


あたしはそう思って倉庫に向かった。


放課後、ブラバンが練習している横を通って行った。


あの二階階段前、


着いた、でも…


そこにドアはなかった。


あるのは他と同じ壁だ。


嘘!ここにあったのに…


絶対ここにあった、間違えない。


そう、あたしが間違えるわけがない。


自分をこんな風に思うなんておかしいかもしれない。


普通こういう時は自分の記憶を疑うものだ。


でもあたしはそんなことしない。


―テキスト―


そう呼ばれてきた。


覚えた事は絶対に間違えない。


まるで、教科書やテキストだ。


そんなあたしが部屋の場所一つを間違えるなんてありえない。


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