君がいた部屋~二階階段前倉庫~


帰り道、あたしと朋佳は何も話さなかった。


話す事がなかった。


話す気力がなかった。


あたし達はロボットのようにひたすら歩いた。


別れる時だって


「じゃあね。」


としか言わなかった。


あたしはトボトボと家まで歩いた。


歩く速度が遅いのが自分でも分かった。


でも


歩いて帰れる事が奇跡だと思った。


あたしは家に着くと自分の部屋に引きこもった。


ご飯は食べなかった。


かろうじてお風呂には入った。


その後はすぐにベッドに入って泣いた。


泣き続けた。


気付けば朝の6時だった。


あたしが起きる時間だった。


< 91 / 231 >

この作品をシェア

pagetop