君がいた部屋~二階階段前倉庫~


竜は普通の顔してあたしに話しかけてきた。


あたしは、心がキリキリと痛むのを感じた。


「おはよ。竜。」


あたしはとても小さな声で言った。


あたしは朋佳を見た。


朋佳は不機嫌そうな顔していた。


構わず竜は話し続ける。


「恵、今日暇?」


「うん…暇だよ。」


「じゃあさ、放課後に第二倉庫来て。」


竜はやはりいつも通りだった。


あたしはだんだんイライラしてきた。


あたしは抑えられなかった。


あたしは言ってしまった。


「昨日何処に行ってたの?」


「え?何処って?」


「最近一人で帰ってばっかりたがら。」


「昨日は母さんの手伝いしてた。今母さん風邪引いててさ。」


「それで家に帰ったの?」


「あぁ。」


あたしは


悲しかった。


竜はあたしに嘘をついた。


裏切っただけじゃなくて嘘までついた。


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