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「…秋野ですよ!…秋野ナオです…覚えてないんですか?…中華屋さんでわたしホールしてたじゃないですか!」

「ああ…」

俺は後に続く言葉が見つからなかった。

「…ひっど〜い!…わたし、山下さんの事、ず〜っと好きだったんですよ!…ショックだなあ…」

ナオは、一方的に一人で喋り続けた。

「…何だよ。…彼女にフラれて落ち込んでる見たいだから連れて来てやったのに…俺が落ち込みそうだな」

朽木野は冗談半分で、俺を小突いた。

「…何いってるんですか!…とりあえず飲みましょうよ!」

そして、三人で馬鹿話をして盛り上がった。

ナオはその後、一切俺の過去の話をしなかった。

おそらく、朽木野に気を使ったのだろう。

…ただ、帰り際に、アドレスと電話番号が書いてあるメモ用紙をこっそり俺に握らせた。

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