サガシモノは、愛ですか?(仮)
信じられない。
そのままダイニングに向かうと
相変わらず
綺麗にテーブルセッティングされた食卓。
五つの椅子。
空いているのはひとつ。
「ただいま」
「さーやちゃん遅いよ~」
カイが少しむくれた顔。
「ごめんね」
「学内のツリーがライトアップだったんだって?」
わたしの大学のOBでもあるパパが、
すっごくニコニコしていて
「女の子ああいうの好きだからね」
当たり前みたいな顔で
リクが言葉を続ける。
「紗彩もお年頃だからパパは少し心配だな
最近、帰りも遅いし」
「でも、さーや『奥手』っぽいから大丈夫ですよ義父さん」
「リクと同じ学校で、それだけは良かった」
「ちゃんと言われたとおり、悪い虫つかない様に
俺、見張っていますから」
なにそれ。
なにそれ。
いつから、そんな話。
二人で。
ほんものの親子みたいに
そこ、
わたしの席なのに。
いつも居ないくせに。
「はいはい、じゃあ御飯はじめましょ。
もう二人とも食前酒の呑みすぎですよ」
おかあさんが、
突っ立っていたままの
わたしの背中を
促して
いつも空いていた
席に
座らせた。