かすみ草の夢
私は、本当に送ってくれそうな様子のカンジ先輩に嬉しさを覚えつつも、やっぱり送ってもらうわけには行かないと、断りの言葉を口にした。

「バイトの日だって飲み会の時だって、今日よりもっとずっと遅いですし、うちは駅前からの大通りを通ってすぐなんで、本当に大丈夫ですから」

それでもカンジ先輩がまだ何か言いたそうだったので、私は話を変えた。

「それより、みのりちゃんって、すごくいい子ですね」

「え、ああ、みのりちゃん?
うん、いい子だよ。

毎朝、一緒に飯食べるんだけど、朝から元気に挨拶してくれて、明るいしね。

寮に来たばかりの頃、リョウやタカと歓迎会してあげたら、そのお礼ってクッキー焼いてくれたりしたし。
俺達にとっちゃ妹みたいな感じかな」

< 39 / 111 >

この作品をシェア

pagetop