かすみ草の夢
雪に反射した太陽光できらめくゲレンデは、色とりどりのウェアでにぎわっている。

「ねえ、優衣、ゆっくり行ってね」

あまりスキーが得意でない私は、不恰好に方向転換した。

「もちろん。私だってやっと中級者コースをすべれる程度だし、今シーズン初めてなんだから、ゆっくりいこ」

優衣はゴーグルを直し、先にすべりだした。

私も必死にボーゲンでついていく。

初心者コースでも、上手な人はシャッシャッと、気持ちのいい音を立てて私たちを追い抜いていく。

私はできるだけ、斜面を緩やかに下りられるよう、左右に大きく方向転換しながらすべっていった。

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