かすみ草の夢
「あの、さっき健太から聞いたんですけど、それって夏希のことですか?」

「あ、もう聞いてたのか。
うん。本当にごめん」

カンジ先輩は頭を下げた。

「カンジ先輩、頭を上げてください。
私なんとも思っていませんから」

「健太から、全部聞いたか?
俺、おまえのこと利用したんだよ。
自分の都合で」

「わかってます。全部聞きました。
でも、上級者コースに行くって決めたのは私なんです。
だから、カンジ先輩のせいじゃないです。
それに私ピンピンしてますし、ケーキもおごってもらいました。
午後はずっと付き合ってもらって、すごく楽しかったし。
だから、謝らないで欲しいんです。
それとも、カンジ先輩は、午後ずっと義務感だけで私に付き合ってくれたんですか?
全然楽しくなかったですか?」

< 84 / 111 >

この作品をシェア

pagetop