かすみ草の夢
「それ、ワールドカップの記念品だろ。
俺も昔、同じデザインのキーホルダー持ってたんだ。
いつの間にかなくしちゃったんだけどさ」

私は、どぎまぎしてきた。

黙ってしまった私を見て、カンジ先輩が不思議そうに私を見る。

「どうした?」

「いえ…」

「あ、もしかして、そのストラップ、なんか大切な思い出の品とか?」

どうしよう…

「ええ、まあ……」

「聞いちゃいけなかった?
無理に言わなくていいよ。
ごめん。
余計なこと言ったみたいだな、俺」

カンジ先輩は、頭をかいてレモンティーを飲んだ。

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