かすみ草の夢
「カンジ先輩。お返事する前に、先に私の話も聞いてもらえますか?」

カンジ先輩は、私が何を言い出すのかと戸惑った様子だったけれど、それでも笑顔で言ってくれた。

「ああ、真奈美も何か言いかけてたんだったな。なに?」

「このストラップのことです」

「俺が聞いてもいいの?」

「はい。というか、カンジ先輩に話さなきゃならないことなんです」

「俺に?」

「はい。これ、たぶん、カンジ先輩のものです」

「ええ?これが?
でも、俺が持ってたのは小学生の頃だよ」

「知ってます。
なくしたの、小学校6年生の時じゃないですか?」

カンジ先輩は驚いて私を見た。

「そうだけど。
なんで知ってるの?」


私は小学5年の夏のできごとを話し始めた。



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