かすみ草の夢
自転車の前かご一杯に、新聞紙に包まれた大好きなかすみ草を入れ、浮き立つような気持ちで家に向かった。

最後の曲がり角を曲がったとたん、事件は起きた。

いつもなら、車が来ないか、十分注意して曲がるその曲がり角。

かすみ草をもらって気分が高揚していた私は、あまりスピードを落とさずに突っ込んだ。

ドンッ!

衝撃とともに「うわあっ」という大きな叫び声を聞き、かごから飛び出すかすみ草を見上げながら、私は倒れた。

反対側から走ってきた歩行者とぶつかったのだ。

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