クレイジーワールド
消毒薬などが買えない二人は、いつもこうして傷口が化膿するのを防いでいた。
あまり衛生的ではないが仕方が無い。こうするしか方法がないのだ。
それにこんな方法でも何もしないよりは気休め程度になる。
流石に全身の傷をするのは大変だが、汚れた傷口だけ、エミィは優しく血を吸い出す。
ナイフを火で炙るのは、洗うだけでは取れないナイフの雑菌を殺すためだ。
「ありがとう、エミィ…」
「どういたしまして」
エミィはそう言って優しく微笑んだ。
エミィの唇にはまだジェイの傷口の血がついている。
そんなエミィを見てジェイはエミィの唇を指でなぞるように擦った。
でも固まってしまった血は、乾いたままで擦っても落ちそうにない。
「?ジェイ君…?」
不思議に思ったエミィは口を開くが、何も言わずいきなり顔を近付けてきたジェイが、
いきなりエミィの唇に吸いついた。
「んっ…は、…ど、どうしたの?」
エミィにそう聞かれ顔を離したジェイは、ぺろりと舌を出して笑った。
「血、付いてたからさ。指で擦っても取れなくて」
「そ、そっか有り難う…//」
エミィの顔が赤く染まって行くのが薄暗い空間でもよく分かった。
ジェイはそんなエミィが愛しくて仕方がない。
果たして本当にこれが姉弟間のやりとりなのかは疑わしいが…
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