あなたは見られている −聖なる夜に−
第一章・幼い頃の記憶。

・記憶

「寒−−・・これだからやだよ、冬は。」


雪村冬美(ゆきむらふゆみ)は、そう言って口を尖らせた。


「毎年そう言ってるよね、冬美。」


冬美の親友、砂夜(さよ)が白い息を吐きながらそう言った。


「名前からしてさぁ、好きそうなのに、”冬”。」

”雪村冬美”この名前からして、冬が好きそうだね、とよく言われる彼女だが、本当はそんな気持ちは全くない。


むしろ、冬美は冬が嫌いなのだ。
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