あなたは見られている −聖なる夜に−
「お父・・さん」

冬美は声が震えていた。

「ごめ・・んね?お父さん・・。」

涙で視界がぼやけてくる。

さっきのような恐怖からくる涙じゃない。

「何を・・謝っているんだ、冬美。お父さんは明日、自首しようと思う。でも自首する前に・・冬美に真実を伝えておきたかったんだ。」


父親は、優しく、そして切なく、微笑んだ。

「父さんは、人殺しだ。ごめんな、こんな父親で・・。」

そう言って父は静かに泣きだした。

「借金は・・お父さんが、友達の保証人になったからなんでしょう・・・?」

そうなのだ。お人よしの父は、父の友人に借金の保証人になってくれと泣いて土下座され、止むおえず保証人になったのだ。

「ああ・・でも、大丈夫だ。お父さんが、借金を全部かえしたから、そのために・・失踪していたんだから。」


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