僕の彼女は腐女子です。
「皐月?どうしたの、いきなり」

僕が不審がって問いかけると、皐月はまた大きく溜め息をついた。

「ごめんね、洋貴。私、知らなかった」

何をだ。

「いや、僕言ってたからね?こういうの嫌だって」

「本当にごめんね。私、私…」

え?え?何この展開。
僕何も悪くないんだけど。お母さん、そんな目で見ないでよ。

「洋貴、私…」

「ちょっ、皐月!?なんかごめんね!僕が悪かった!?」

あれ、なんか最後疑問系になった。
まぁいっか。

「私…」

「さつ…「洋貴が強引攻め嫌いだなんて、知らなかったの!」………は?」

えー。なんか、聞いちゃいけないこと聞いちゃった気がするー。

皐月が僕の言葉をわざわざ(←ここ重要!)遮って言ったのは、なんか聞いちゃいけない気がする言葉だった。

「だって、洋貴可愛い感じの受け顔だし、眼鏡だし、ちょっと押しに弱そうだから、強引攻めが良いのかな~って思ったんだけど違ったのね」

「ストップ、ストップ、ストーップ」

今度は、僕の方から話を遮った。

「何?」

「いやいや、『何?』じゃないよ。僕は押しになんか弱くないよ。だいたい、僕は可愛くないよ」

僕は皐月に、そう言った。

ん?突っ込みどころが違うって?
あんまり気にしないで。

「そう…とりあえず、嫌なんだよね?」

「うん。嫌」

にっこりと、満面の笑みで言う。
後ろから、「兄ちゃん怖い…」という弟の声が聞こえた気がするが、とりあえずスルーだ。

「…分かったわ」

「本当!?」

よっしゃー!僕は、我が勝利を自分で掴み取ったどー!!

さすがにやるとイタイ奴だから、心の中でガッツポーズ&雄叫び。
だが、喜んだのも束の間。皐月は普通に爆弾を投下した。

「次は、ワンコ攻めお目覚めボイスにするね!」

無邪気に笑いながら、携帯から着ボを流す。

"おはよう!今日は早起きだね。
じゃあ、明日も早起きできるように、おまじない"

ご丁寧に、キスのリップ音付きの着ボ。

それに僕は、何の反応も示すことができなかった。
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