秘密の片思い
「愛!」


うつむいていると郁斗の声がすぐ近くで聞こえた。


傍に来るまで考え事をしていた愛は気が付かなかった。


「郁斗、ほんとに平気だから。一人で帰れるよ?」


郁斗の髪の毛はまだ湿っている。


ズボンのポケットに財布と携帯だけもって出てきた。



「まだ一緒にいたいって言ったら?」


「郁斗・・・・」


公衆の面前で甘い言葉を言われて愛の顔が真っ赤だ。


マンションは駅の近くなのですでに10時近いが人通りは少なくない。


「まだ本当は一緒にいたいけど愛は疲れた様子だから素直に帰そうと思ったんだ」


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