秘密の片思い

異動

自分の私物をダンボール箱に入れ終わった時、祐一郎が来るのが見えた。


「愛、驚いたよ いきなり異動だなんて」



「うん あたしも驚いた」


驚いたけどもしかしたらとは思っていた。


編集長が郁斗の件を見過ごすはずはない。


げんにあたしを外回りばかりさせていたし。


あんなワンマンな編集長に自分は付いていけないと思っていた矢先だった。



愛は荷物を詰めた箱を持ち上げた。


これを運べば「サンウォーク誌」の編集室ともお別れだ。


「運ぶよ」


祐一郎は愛の代わりに荷物の入ったダンボール箱を持った。


「ありがとう」


「愛、俺が編集長に頼んでみようか?」


「もう決まった事だから。あたしは大丈夫 ありがとう」


「サンウォーク誌」の仕事は好きだが上に立つ人に減滅した。



< 198 / 646 >

この作品をシェア

pagetop