秘密の片思い
「日菜には会ってる?」


郁斗がバーボンのグラスを片手に聞く。


「よく会ってるよ 日菜と2人で会う時は良いんだけど、自宅にお邪魔すると当てられちゃって目のやり場に困るほどだよ」


彼氏がいると言っても深い仲ではないあたしに朝倉夫妻の仲の良さは目に毒だ。


「幸せそうでいいじゃん」


それは郁斗の本心だ。


日菜と兄貴が幸せでうれしい。


自分にとって日菜は守ってあげなくてはいけない妹のような存在だったんだ。


ブラジルに渡って夢中でサッカーをやっていると日菜の事はふっ切れていった。


「・・・郁斗は日菜を忘れる為に・・・ブラジルへ行ったの?」


愛がずっと聞いてみたかった。


郁斗が愛の顔をじっと見てから言った。


「いや、日菜は関係ないよ サッカーを思いっきりやりたかったんだ」



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