秘密の片思い
「城崎　愛さんはこちらにいますか？」


目の前の男性から愛の名前を聞いて由奈の目が点になった。


「えっと・・・髪の長い愛さんですか？」


「そうですね　髪の長い城崎　愛です」


（ど、どうして朝倉選手が愛さんを尋ねてくるのぉ？）


郁斗の長身と端整な顔を見て一気に頭に血が上る感覚だ。


由奈は編集室の誰かに助けを求めようとキョロキョロしたが部屋には誰もいない。


「あの・・・今日は具合が悪くてお休みしているんです」


言ってしまって良いものかと考えたがこの部屋にいない事は確かだから由奈は答えた。


（愛さんの住所聞かれたら嫌だな・・・・言ってしまいそうだよ）


「具合が悪い・・・？」


「は、はい・・・」


由奈がコクッと頷く。


「ありがとう」


そう言っただけできびすを返して行ってしまった。


「愛さん、朝倉選手と知り合いだったんだ・・・・」


由奈の口からうらやましげな呟きが漏れた。



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