秘密の片思い
「カギ貸せよ」


目の前に手を差し出されて愛はポカンと郁斗を見た。


「カギ?」


「買い物に行って来る 戻ってきた時に締め出されたら堪(たま)ったもんじゃないからな」


「お願いだから・・・」


郁斗を見る愛の瞳が潤む。


「食べるのを見届けたら帰るよ」


そう告げられ愛は仕方なくバッグから鍵を郁斗の手に落とした。


部屋を出て行く後姿をぼんやり見ていた。


(お願い・・・優しくしないで・・・・)



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