秘密の片思い
「愛?どうした?」


郁斗がイスからベッドの端に移動してきしむ音がした。


ぼんやり考え事をしてしまっていた愛はハッと我に返った。


「郁斗のご両親に会うと思うと今から緊張しちゃうなって」


柔らかく微笑む愛に郁斗の手が髪に触れる。


「俺だって愛の両親に会うと思うとすごく緊張する まして、妊娠させちゃったんだからな」


印象は悪いだろう。


「妊娠は一人じゃ出来ないんだよ?うちの両親は大丈夫 郁斗と会ったら喜んでくれると思う」


髪を撫でている郁斗の手に愛は手を重ねた。


大きい手、スポーツばかりやっているからごつい指かと思うのだがきれいで長い指だ。


「郁斗、疑問に思うことがあるんだけど・・・」


(これを聞くのは無知で恥ずかしいけど・・・)





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