秘密の片思い
真っ赤なバラの花束がクリーム色のサテンのシーツの上に置かれていた。


その横には細長い箱もある。


そっとベッドに下ろされた愛は戸惑いの表情を浮かべて郁斗を仰ぎ見る。


「郁斗・・・・」


郁斗もベッドの端に腰をかけ花束を手にすると愛に渡した。


そして細長い箱を開ける。


「婚約指輪をおそろいのネックレスなんだ」


ダイヤモンドがキラキラ光るネックレスに声も出ない。


「・・・・・」


「どうした?」


ネックレスを手にしたまま動かない愛。


「・・・ありがとう・・・あたし幸せ あたしも郁斗を幸せに出来るようにがんばるからね?」


涙が溢れて真っ赤なバラの花びらを濡らした。



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