秘密の片思い
郁斗は携帯を取り出すと愛にかけた。


着信音が鳴り始めると部屋の中に音楽が流れた。


「チッ!」


音のする方へ歩いて行くとダイニングのイスに愛のバッグがあった。


「何も持たずに出て行ったのか!?」


郁斗は弾かれたように部屋を出てエレベーターに乗った。


まだ遠くへは行っていないはずだ。


タクシーに乗ったのならば間に合わないが、郁斗は近くを探し始めた。


外はすでに暗い。


マンションの近くは駅が近く明るいが、少し行くと人通りが少なくなる。


何も持たずにどこへ行ったんだよ!


血相を変えて愛の姿を探すために郁斗は走った。



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