秘密の片思い
「いや、ふくれっつらする所はまだまだ子供だね」


愛のふくれた頬を人差し指で突っつく。


「郁斗・・・・」


愛のかすれた声に笑っていた郁斗が真顔になる。


「愛・・・ゆっくり思い出せばいい わからない事は全部教えてやる」


愛の華奢な肩に手を置いて顔を傾ける。


郁斗は優しく触れるだけのキスを愛の唇にした。


事故後、初めてするキスだった。


深いキスをしたい郁斗だが、愛を驚かせてはいけないと啄ばむ程度のキスをした。


愛の事を考えて軽いキスにしたのだが、それでも愛は顔を真っ赤にして郁斗の肩を押した。


「い、郁斗!」


真っ赤になってビックリしたような眼(まなこ)。


「愛?」


愛の反応に郁斗も驚く。


まさか肩を押されるとは思っても見なかった。


「ご、ごめん・・・その・・・あたしたち・・・」


触れ合う事が記憶にないのでどうしたら良いのかわからないのだ。



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