秘密の片思い
愛の小さなうめき声に気づいた。


「愛？」


郁斗は読んでいた本をその場に放り投げると急いで飛んできた。


「痛むのか？」


愛の身体に手を添えてベッドの上に横にさせる。


その痛みは心因性のものなのでよほど酷くないと薬を飲まさない。


「そ、そんなに痛くないから」


枕に頭を付けた愛は目を開けて郁斗を見た。


「また考え事をしていたんだろう？」


「う、うん　だって・・暇だし・・早く思い出したいんだもん」


なんで郁斗との結婚を忘れちゃったんだろう・・・。


早く思い出したい。


結婚写真に写っていたあたしたちはとても幸せそうだった。


お腹が目立たない写真ばかりを郁斗は選んだので愛はまったく気づかなかった。



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