秘密の片思い
「この前の試合、どうして下がったんですか?」


愛の事故の時の事だ。


突然聞かれて、らしくなく郁斗は言葉につまった。


「あのまま出場していれば楽勝だったのになぁ」


「いや、そんな事ないよ 全日本には俺よりもうまい選手がたくさんいるからね」


そう言うとカップルは最後に握手を求めて去って行った。


「郁斗・・・」


「どうした?」


「この間の試合って・・・・?」


「試合の最中に愛は事故にあったんだ 国立競技場へ来る途中だった」


この事は隠しても仕方がないと思い話した。


驚いた顔をした愛はすぐに困った顔になった。


「ごめんね 郁斗・・・・」


あたしのせいで試合を途中で抜け出したんだ・・・。


「愛のせいじゃないだろ?それよりも愛が生きてくれて本当に良かった タクシーの運転手はいまだに集中治療室にいるそうだ」


酷い事故で愛が生きてこうやって一緒に入るのは奇跡だ。




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