秘密の片思い
部屋に戻った愛は寝室へは行かず、キッチンへ行きコーヒーメーカーをセットした。



「愛?」


郁斗がキッチンに入ってきた。



「コーヒー飲みたくなっちゃった 郁斗も飲むよね?」


食器棚からウェッジウッドのカップを2つ台の上に用意する。


視線を合わせずにもくもくと用意する愛に郁斗は胸が痛む。


腕を愛の肩に回す。


愛の動きが止まる。


「郁斗・・・・?」


「頑張ったな」


優しい声で言われて再び愛の瞳はみるみるうちに潤んでいく。



「頑張ってないよ・・・郁斗が言った言葉で目が覚めた気がしたの あたしが嘆いてばかりいたら・・・ほんと、心配で天国へいけなくなっちゃうも・・んね・・・」



もう泣かないと決めたのに涙は止まってくれずに頬を伝わり郁斗の手の甲に落ちた。



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