秘密の片思い
「行ってきます 無理しないでゆっくり過ごせよな?」


玄関先で見送る愛に郁斗が言う。


「うん 行ってらっしゃい」


愛は背伸びをして郁斗にキスをして送り出した。


玄関のドアが閉まると愛は小さく溜息を吐いた。



今朝起きた時は幸せな気分だったのに。



移籍の話は愛を困惑させていた。



郁斗は絶対に行った方が良い。



でもあたしは・・・・?



あたしはイタリアで生活する自信は無い。



でも・・・あたしが行かなかったら郁斗はこの話を断ってしまうかもしれない・・・。



愛はしばらく玄関でぼんやりしていた。




< 603 / 646 >

この作品をシェア

pagetop