秘密の片思い
郁斗がリビングのドアを開けると部屋の中は真っ暗だった。


「愛?」


目をこらして部屋を見るとダイニングテーブルにうつ伏せになっている愛を発見した。



「愛、電気も点けずにどうした?」


郁斗は部屋の電気のスイッチを押してから愛に近づいた。



手を愛の肩に置くとビクッとしてから顔を起こした。


「いく・・・と・・・」


「っ・・・どうしたんだよ!?」


顔を起こした愛の目は真っ赤でうつろな瞳をしていた。


「いくと・・・ここが・・苦しいの・・・」


愛は自分の胸を押さえた。


色々な思いが押し寄せてきて愛は苦しかった。


逝ってしまった赤ちゃんの為に頑張ろうという気持ちがさっきの言葉でぐらぐらと揺れている。



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