秘密の片思い
翌日、出勤する千波から電話を貰うまでマンションの下にレポーターがたくさんいるなんて知らなかった。



千波は迎えの車の後部座席から郁斗に電話をした。


千波が迎えの車に乗っているのは理由がある。


最近は忙しく、会社に行くまでも仕事をしなければならない。


家に帰れば仕事の「し」の字も出さず、日菜の相手をしてやりたいからだ。



『郁斗、しばらくどこかへ旅行したらどうだ?もうすぐクリスマスだし ニセコあたりはどうだ?』


「あぁ・・・それもいいかもしれない」


電話を切った後、郁斗がいらだたしげに髪をかいた。


郁斗・・・?


食器を洗っていた愛は手を止めた。


朝目が覚めると気分は少し落ち着いていた。



「どうしたの・・・?」


髪が乱れた郁斗に聞く。


これ以上、悪いことではありませんように。




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