秘密の片思い
玄関で鍵を開ける音がして郁斗の声が聞こえた。


「ただいま」


少し疲れたような声だ。


「お帰りなさいっ!」


愛は急いで玄関に向かうと出迎えた。


ただいまのキスを頬に受けて愛が微笑む。



「今日も郁斗大活躍だったね?」


「え?・・・もしかして見に行ったのか?」


今朝、何も言っていなかったので見に来ていたとは知らなかった。



「うん」


「行くなら言えば・・・」


「いいの 一人でもうチケットも買えるし、バスも乗れるようになったんだから」



正直言うと郁斗がくれる場所は特等席で、他の選手の奥様やガールフレンドもいるので疲れるのだ。



「そうか すごいな」


着いてから1週間は外に出るのが怖かったのだが、今では楽しんでいるようだ。



「ご飯用意出来ているけど、先にお風呂にする?それとも食事?」


リビングに行きながら聞く。


「・・・愛が良い」


次の瞬間、背後から腕が伸びて愛は優しく包まれた。


「いつもありがとう 愛しているよ 俺の大事な奥さん」


「郁斗、あたしも愛してる」



郁斗の言葉で愛は幸せに包まれた。





             END

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