秘密の片思い
(郁斗はわかっていたんだ・・・郁斗が初めての人だって事・・・)


「・・・もう帰って」


愛は力を振り絞って立ち上がった。


「愛していないのなら別れろよ」


郁斗の言葉に耳を疑う。


「っ・・・!」


(あたしの愛しているのは郁斗だけ・・・)


「俺が恋人になる」


ガクッと膝の力が無くなりそうだった。


立っていられないほどの衝撃。


(婚約者がいるのにあたしの・・・恋人になるの?)


ピンクのソファーに座ったまま郁斗は余裕の笑みを浮かべている。


「なにバカな事を言ってるのよっ」


「そんなにバカな事に聞こえる?俺たちの相性はぴったりだったじゃないか」


「・・・・」


愛は答えに困った。




< 96 / 646 >

この作品をシェア

pagetop