例えば、それがキオクだったら…
      *


夢を見た。

俺は、白い箱に一人でいた。

どこまでも純粋な白だ。

どこからが壁なのか、天井なのか

それすらも分からなくなるほどの白。



『珪……珪…』



どこからか、自分を呼ぶ声がする。

聞いたことのある声…お前は……

何のために俺を呼ぶ…?



『…ごめんね…』



謝るなよ…。

今更…謝るな。

“ごめん”なんて言われたって、俺には無理だ…。

あんたを許せる気がしない。

沢山、失くしたんだ。

あんたのせいで、俺は沢山のものを失ったんだ。

それを…“ごめん”なんかで済ませるなよ。



『……ごめんね…ごめんね、珪』



あんたは、何も分かっちゃいない。

俺の心なんて、あんたには見えないだろ?

別に、あんたを嫌ってないことも

あんたが悪いんじゃないって、分かってるってことも

もう一度、会いたいと思ってたことも

俺にとって、“それ”が辛かったってことも…

あんたは分かってない。

何も、分かってないんだ…。




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