例えば、それがキオクだったら…
*
「……で?」
「…?」
やっと状況を理解した珪に、女が唐突に話を振る。
「名前。なんて言うの?」
やっと本題に戻ってきたようだ。
「…桐谷……桐谷、珪」
珪は、ぼそっと自分の名を言ってやった。
「ふぅん…カッコいいじゃん?」
女はニッと笑ってそう言った。
珪は、不思議そうに首を傾げる。
「…そうか?」
実際、自分の名前について、どうとか考えたことは無かった。
人に変と言われたことも無いし、特に褒められたことも無い。
正直、はっきり“カッコいい”と言われるのは、悪い気分ではなかった。
「いいと思うよ?…珪」
「……変なヤツ」
女は、「変かなぁ?」と笑った。
純粋に笑っていると、普通の人間の女の子にしか見えない。
ぱっちりした目は、笑うと少したれ目になる。
「…猫みたいだ」と珪が言うと、微妙な表情で
「褒めてるの?」と聞き返してきた。
今会ったばかりなのに、自然に会話ができた。
それが、特に不思議にも感じなくて…本当に、当然のように思えていた。
「……で?」
「…?」
やっと状況を理解した珪に、女が唐突に話を振る。
「名前。なんて言うの?」
やっと本題に戻ってきたようだ。
「…桐谷……桐谷、珪」
珪は、ぼそっと自分の名を言ってやった。
「ふぅん…カッコいいじゃん?」
女はニッと笑ってそう言った。
珪は、不思議そうに首を傾げる。
「…そうか?」
実際、自分の名前について、どうとか考えたことは無かった。
人に変と言われたことも無いし、特に褒められたことも無い。
正直、はっきり“カッコいい”と言われるのは、悪い気分ではなかった。
「いいと思うよ?…珪」
「……変なヤツ」
女は、「変かなぁ?」と笑った。
純粋に笑っていると、普通の人間の女の子にしか見えない。
ぱっちりした目は、笑うと少したれ目になる。
「…猫みたいだ」と珪が言うと、微妙な表情で
「褒めてるの?」と聞き返してきた。
今会ったばかりなのに、自然に会話ができた。
それが、特に不思議にも感じなくて…本当に、当然のように思えていた。