ノンステップ・シュガー
席につくとすぐにとなりの男子が喋りかけてきた。

「おい、相田っ!おまえ何してたんだよっ」
「うっさいわねっ!そんなことあたしが聞きたいわよっ!」

ひそめて喋ったつもりが聞こえてしまったらしく、先生に「相田ー小暮ーうるさいぞー」と言われてしまう。かあっと一気に顔が赤くなったのが自分でも分かった。
だーー!なんでこんな形でファーストキスを奪われなくちゃならないわけ!?でも、新崎に…

”新崎千春”はしょーしんしょーめー不登校児。
モデル業もこなせそうな長身が学校に現れると、皆はなぜか新崎をさけた。目が切れ長で、ぶつくさにものをいうところは少し恐いなあとは思うけど、短髪にしてるところは清純そうじゃないかと私は思っているのだ。皆が彼をさける理由が、イマイチわからない。
まあその私も、さっきは新崎に恐れ入っちゃって何にもきけなかったわけだけど。


それにしても新崎は謎の多いクラスメートだった。
学校にはたまにしか顔を出さない。授業をうけてるところもあんまり見たことがない。それなのに解明できないことがひとつあって、それは学年成績トップらしいという噂。いつものらりくらりとしている彼からは想像ができなかった。


私は、そんな新崎に恋をした。
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