The Third Time's Lucky
「ただいま。お腹減った」

夕飯の皿を並べている頃、母さんが帰ってきた。

「おかえり、初。ちょうど夕飯の準備ができたところだよ」

「桐生、しばらく会えなくて寂しかったぞ」

「そう言うなら、海外遠征はもう少し控えてほしいな」

「それとこれとは別だ」

母さんの職業はアルピニスト。

学生時代から世界の山々を登り、父さんとの結婚、出産を機に範囲を国内に縮小し、今は講演や執筆を中心に活動している。

ただ、今回みたいにどうしても海外の山に登りたくなったときには、遠慮せずに登りに行く。

父さんは渋い顔をしつつも、母さんが帰ったときには仲睦まじく一緒に過ごす。

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