The Third Time's Lucky
第1話 回り始めた歯車

北斗1

「岡崎さんってクッキー好き?」

「嫌いじゃないけど、袋いっぱいのクッキーは食べきれないわよ」

「あっ、分かっちゃった?」

「まあ、そんなパンパンな袋を見れば。それに、北斗君とはデビュー当時からの付き合いですからね」

中学から俳優業をしている俺は、今では10代後半から20代の女性の間でそれなりの人気を得ている。

今はマネージャーである岡崎さんの車の中、午後の授業は欠席だ。

今日の仕事は連ドラの撮影。

俺の役は主役ではないけど、物語のキーパーソンだ。

最近重要な役をもらえるのは嬉しいけど……

「今日は何年生?」

「1年」

新学期が始まって早1ヶ月、午前の授業をすべて終えて校舎を出ようとしたとき、調理実習で作ったクッキーを持った女子が押し寄せてきた。

デビュー前からもこういうことはあったけど、デビューしてからは格段に増えた。

「白雪ちゃんからもらったことはないの?」

「毎回ももらってますよ、『みんなのために』作ったものを」

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