コトノハ 〜この気持ち、何て言うの〜
「初詣?」


レイスって難しい言葉知らないのかな?


今までしゃべらなかったんだもんね…。


「神社に行って、お参りするの。」


実はレイスに会った時も、
初詣に行く途中だったりする。


「あ!オーナーが行くって言ってた…。」


わたしが説明すると、
レイスは思い出したように言った。


「オーナー?」



なんか聞き覚えがあるぞぉ…。



「えっと、オーナーは、オーナーって呼ばれて…。」



「そっか!
 
 オーナー!

 東條隼人さん?」


「そう…だと思う。」


東條さんは、わたしが働く大企業『東條グループ』の次期社長。


なぜかみんなに『オーナー』って呼ばれてる人で…本人もそれはそれで喜んいたりする。


レイスにぶつかった時に運転していた人もそういえば…オーナーだった。


「レイスの所有者だもんね。」


「うん。」


ってことは、
オーナーは今車がないのかな…?


「ちゃんと言わなきゃね。

 …車がない、では困ると思うし…。」


「それは…!

 …大丈夫。

 たぶん。」


レイスは何か焦ってるみたい。


「どうして?」


「他にも車いっぱいあるし…、お金持ちだから。

 …いいだろ?」



レイスは『言いたくない』のかな?


だったら、同意してあげよう。


わたしにそうしてほしいみたいだし…。



「…そうだね。

 お金持ちだから…。」


東條グループは日本でも有名な多目的企業。



「だから、大丈夫。」


レイスの目は、必死だった。


「…うん?」


やっぱり、
勝手に人間になっちゃったから、
言いにくいのかな…。
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