コトノハ 〜この気持ち、何て言うの〜






神社へ向かう道。


俺の隣にはチカ。



昨日まで考えてもみなかった。


手の届く距離にキミがいるなんて――。



「レイスは、神様にお願いしたから人間になれたんだよね?」


「そう。」


それはついさっきのこと。


「じゃあ、お礼言わなきゃね。」


「お礼?」


「『ありがとう』って。」


「…?」


「レイスが、人から嬉しいことをしてもらったら、言う言葉。」


嬉しい?


うれしい。


俺は嬉しい。



「嬉しい?人間になれて。」


「嬉しい!」


もちろん。


でも本当に嬉しいのは…、

「…人間になって……。」


「なって?」


なって…、

「…まだ、言わない。」


言わない。



本当に、
神様が叶えてくれた俺の願いは、
チカとこうやっていられるってこと。


俺が願ったから…。


でも、
何で願ったんだろう?


なんで、
こんな気持ちになるんだろう?


この気持ち、
何て言うんだ?


それを知るまで…、
言っちゃいけない気がするんだ――。


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