コトノハ 〜この気持ち、何て言うの〜


「お賽銭?」


チカはサイフから100円玉を取り出した。


「そう。

 神様にお供えするの。

 それから、感謝をのべたり、お願いをしたりするの。」


ってことは、
神様はお金が『いい』のか…?


ま、いいや。


「あ!

 俺、お金ない…。」


チカの家に置いてきたとか、
そう言うのじゃなく、
俺はお金なんて持ってない。


さっきまでお金が必要ない、
車だったから…。


「そうだと思った。」


チカが笑った。


また俺のドキドキが増える。


「…はい。どうぞ。」


「!」


チカが俺に渡したのは、
100円玉。


「っと…、ありがとう?」


今さっき覚えた感謝の言葉。


「あっ!」


チカは嬉しそうにした。


「どういたしまして!」


そういって、
ちょこちょこと、
俺より少し前に行く。


つい、
手を伸ばして、
…捕まえたくなる。



「レイス!こっち!」


チカは振り返って、
俺に手を振った。


「…。」


ショートする俺の回路。


チカを見てると、
良くわからない気持ちに襲われるんだ。



「レイス?ほらっ。」


伸ばされる手。
俺が…欲しかったもの。


「いいの?」


…捕まえても?


「えっ?あ、の…?」


「まっ、いいよな!」


きっと!


「わっ。」


俺はチカの手をとった。



温かい。



チカの手をぎゅっと握りしめた。



もう放さないって、
神様に誓いに行こうっ!


感謝の言葉と一緒にっ!



―――神様『ありがとう』ございます!







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