コトノハ 〜この気持ち、何て言うの〜
*
オーナーに会うことになってしまった。
絶対に、
チカから離れたくない。
まだ、
言ってないことがあるんだ…。
「レイス、ここ、オーナーがいるとこ、入るよ。」
チカがコンコンと扉を叩いた。
「は〜い。入って。」
聞き覚えのある関西なまりが聞こえた。
「失礼します。水野です。」
「知香ちゃん。体調は大丈夫か?」
「はい。
…実は、あの、彼のことなんですが…。」
「知香ちゃんのコレか?」
オーナーは小指を立てて見せた。
「い、いえ!違いますっ。それにっ!それは『彼女』ですっ!」
チカは真っ赤になった。
俺は二人のやり取りの意味がわかず、
なんだか置いてきぼりな気分。
それに想像していたよりも軽い雰囲気で、
なんだか拍子抜け。
「違うんか?つまらんなぁ。
…じゃあ何なん?」
いよいよ本題。
チカの肩がビクッと動いたのが分かった。
俺は一歩前に出て、
チカをかばうように二人の間に割り込んだ。
「…えっと……レイス?」
俺はチカに振り返って笑顔を見せた。
その前に、
『レイス』という言葉にオーナーの眉がピクッと反応したのは見逃さなかったけど…。
「俺がいうよ。」