コトノハ 〜この気持ち、何て言うの〜
「それと…知香ちゃん、ちょっと。」
直人さんはわたしに手招きをしたので、
わたしは社長のデスクに近づいた。
すると直人さんがわたしだけに聞こえる声で言った。
「…レイスは、一応『男』やでな。」
「!?」
その意味深な言葉にわたしの心臓はすごく反応してしまった…!
「レイスに食われんように気ぃつけぇ。」
今度はレイスにも聞こえる声で言った。
「食う?俺が何を食う?」
「もちろん!
…知香ちゃん、 …の家の冷凍庫に入っとるアイスに決まっとるやないか!」
『知香ちゃん』の後に少しだけ空白を入れたのは絶対直人さんの故意だっ!
「あ!!あれ…やっぱりダメだった?」
レイスはわたしの動揺なんて全く気がつかないで、
アイスを食べたことを思い出している。
『そう言えばミルク味のアイスが入ってたなぁ…。』
なんて思ったけど、
そんなことより心臓がドキドキしてしょうがないんだよ…。
直人さんの言動は心臓に悪い!
とにかく、
これで直人さんが…わたしの会社の社長が…、
変わった人だって事はよぉくわかった気がする――。